軽貨物の経費一覧|落とせるもの・家事按分・節税シミュレーションまで完全ガイド【2026年】

2026年6月29日 公開|経費・節税ガイド

「軽貨物で経費にできるものって何がある?」「ガソリン代や自宅のスマホ代は落とせるの?」業務委託の軽貨物ドライバーにとって、経費をもれなく計上できるかどうかは手取りに直結します。同じ売上でも、経費の計上が上手な人とそうでない人では、納める税金が大きく変わってきます。

この記事では、軽貨物で経費にできるもの・できないものの一覧表・家事按分のパーセンテージ例と計算例・節税額のシミュレーション表・領収書管理のチェックリストまで、軽貨物に特化して具体的に解説します。「なんとなく」ではなく、根拠を持って経費を計上できるようになります。

この記事の目次
1. 軽貨物の経費の基本的な考え方 2. 経費にできる/できないものの一覧表 3. 車両の減価償却(軽バンを買ったときの経費の落とし方) 4. 家事按分のパーセンテージ例と計算例 5. 節税額シミュレーション表 6. 領収書管理のチェックリスト 7. よくある質問

1. 軽貨物の経費の基本的な考え方

経費とは、事業の売上を得るために使った費用のことです。確定申告では「売上 − 経費 = 所得」となり、この所得に税金がかかります。つまり、正しく経費を計上できれば所得が下がり、税負担が軽くなります。

判断の基準はシンプルで、「その支出は配送の仕事のために必要だったか?」です。仕事だけに使うものは全額、プライベートと共用するものは仕事で使った割合(家事按分)だけを経費にできます。逆に、純粋に私生活のための支出は経費になりません。

2. 経費にできる/できないものの一覧表

軽貨物配送で実際に発生する費用について、「経費にできるもの」と「できない/按分が必要なもの」を一覧にしました。

項目経費可否勘定科目・補足
配送用のガソリン代○ できる車両費/燃料費。共用車は按分
車検・整備・タイヤ・オイル○ できる車両費
軽バンのリース料○ できる車両費/リース料
自動車保険・貨物保険○ できる損害保険料
高速代・駐車場代○ できる旅費交通費/地代家賃
業務用スマホ・通信費△ 按分通信費。私用兼は事業割合のみ
自宅兼事務所の家賃・電気代△ 按分地代家賃/水道光熱費。事業割合のみ
台車・軍手・梱包材・安全靴○ できる消耗品費
会計ソフト・配送アプリ利用料○ できる支払手数料/消耗品費
取引先との打ち合わせ飲食○ できる接待交際費(事業関連のみ)
プライベートの食事・私服× できない私的支出
所得税・住民税× できない経費にならない
国民健康保険・国民年金× 経費外経費ではなく所得控除で処理
交通違反の反則金・罰金× できない経費として認められない
ポイント: 国民健康保険料・国民年金は「経費」ではありませんが、確定申告で「社会保険料控除」として全額が所得から差し引けます。経費にならない=控除にもならない、ではないので、支払額のわかる書類は必ず保管しましょう。各勘定科目の詳しい分類は軽貨物の確定申告のやり方ガイドで解説しています。

3. 車両の減価償却(軽バンを買ったときの経費の落とし方)

軽貨物にとって最大の経費は「仕事に使う車(軽バン)」です。ところが、10万円以上する車両は、買った年に全額を経費にできません。「耐用年数」で何年かに分けて少しずつ経費にする=減価償却という処理が必要です。ここを知らずに「車両代を一括で経費にした」と思い込んでいる人が多く、申告の修正につながりやすいポイントです。

買い方(現金・ローン・リース)で経費の扱いが変わる

同じ「車を仕事に使う」でも、購入方法によって経費にできる範囲がまったく違います。ここが軽貨物の経費でいちばん誤解の多いところです。

買い方経費にできるもの注意点
現金で一括購入車両価格を減価償却で耐用年数にわたり分割計上買った年に全額は落とせない
ローンで購入減価償却+支払利息のみが経費毎月返す「元本(車両本体)」は経費にならない(よくある誤解)
リース(カーリース)毎月のリース料を全額その年の経費に計上減価償却の計算が不要でシンプル
要注意: ローンの返済額のうち「元本部分」は経費になりません。経費にできるのは、あくまで車両を減価償却した金額と、ローンの支払利息だけです。「毎月ローンを払っているから全部経費」と勘違いすると、経費を多く見積もりすぎてしまうので注意してください。

耐用年数と計算例(個人事業主は原則「定額法」)

減価償却は、車両価格を法定の耐用年数で割って毎年同じ額ずつ経費にする「定額法」が、個人事業主の原則です。軽貨物で使う車の耐用年数の目安は次のとおりです。

車両法定耐用年数備考
軽自動車(貨物・新車)4年新車の軽バンはこれが基準
中古の軽バン(4年落ち以上)2年中古は「簡便法」で耐用年数を短縮できる
計算例(中古軽バンを60万円で購入/耐用年数2年):
・60万円 ÷ 2年 = 1年あたり30万円を2年間にわたって車両費(減価償却費)に計上
・1年目に30万円、2年目に30万円を経費にできる(買った年にまとめて60万円は落とせない)
中古車は新車より耐用年数が短くなり、1年あたりに落とせる金額が大きくなるため、節税のスピードという面では中古の軽バンが有利になりやすいです。

青色申告なら「30万円未満」は買った年に一括で経費にできる

青色申告をしている個人事業主は、取得価額が30万円未満の資産を、その年に一括で経費にできる特例(少額減価償却資産の特例)が使えます(年間の合計300万円まで)。たとえば30万円未満で買った中古の軽バンや、業務用のタブレット・台車などは、減価償却で何年かに分けずに買った年に全額を経費にできます。青色申告のメリットが大きいのは、こうした制度が使える点にもあります。

減価償却の計算や、ローン・リースのどれが得かの判断は、慣れないと迷いやすい部分です。経費の分類・減価償却・青色申告の流れを1冊にまとめた電子ガイド『開業&青色申告スタートガイド(¥680)』を使えば、車両の経費処理で迷わず申告まで進められます。確定申告の全体像は軽貨物の確定申告のやり方ガイド、開業の手続きは軽貨物の開業届の書き方ガイドもあわせてご覧ください。

※税制は変わります。最新の取り扱いは国税庁サイト等で確認し、不安な場合は税理士へ相談してください。本記事は税理士監修ではありません。上記の数値は国税庁の一般的な取り扱いにもとづく一般例です。

4. 家事按分のパーセンテージ例と計算例

自宅やスマホ、車を「仕事とプライベートの両方」で使っている場合、その費用は全額ではなく事業で使った割合(按分率)だけを経費にします。軽貨物でよくある按分の目安と計算例を示します(割合は実態に合わせて各自で決め、根拠を説明できるようにしておきます)。

対象按分の考え方事業割合の目安
スマホ通信費仕事での使用時間・用途の割合50〜70%
自宅兼事務所の家賃事務作業・荷物置きに使う床面積の割合10〜30%
電気・水道などの光熱費在宅で事務作業する時間の割合10〜25%
自家用兼の車両費走行距離のうち配送業務の割合70〜90%
計算例(按分):
・スマホ通信費が月10,000円、事業割合60% → 月6,000円 ×12か月 = 年72,000円を通信費に計上
・家賃が月80,000円、事業割合20% → 月16,000円 ×12か月 = 年192,000円を地代家賃に計上
・電気代が月12,000円、事業割合15% → 月1,800円 ×12か月 = 年21,600円を水道光熱費に計上
按分率は「面積」「時間」「走行距離」など合理的な基準で決め、その根拠をメモに残しておくと安心です。

5. 節税額シミュレーション表

経費(特に按分分)をきちんと計上すると、所得が下がって税金が軽くなります。事業所得が下がると、所得税だけでなく住民税(おおむね所得の約10%)にも効きます。下の表は、年間の経費計上額を増やしたときに「所得税+住民税」がどれだけ変わるかのモデル試算です(所得税率10%・住民税率10%として概算した目安です)。

追加で計上した経費所得税の軽減(約10%)住民税の軽減(約10%)合計の軽減目安
年100,000円約10,000円約10,000円約20,000円
年200,000円約20,000円約20,000円約40,000円
年300,000円約30,000円約30,000円約60,000円
年500,000円約50,000円約50,000円約100,000円
例えば、按分で見落としていた通信費・家賃・光熱費を合計で年30万円ぶん計上できれば、この試算では税負担が約6万円軽くなる計算です。さらに国民健康保険料も所得をもとに決まるため、所得が下がると保険料も下がる効果が期待できます。「正しく経費を計上する」だけで、手取りは確実に変わります。なお税率は所得額によって変わるため、実際の軽減額は各自の状況で前後します。

経費を増やすだけでなく、掛金が全額所得控除になる小規模企業共済・iDeCo青色申告特別控除(最大65万円)を組み合わせると、節税効果はさらに大きくなります。所得控除を使った節税は軽貨物ドライバーの節税完全ガイドで数値例つきで解説しています。
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6. 領収書管理のチェックリスト

経費は「使った」だけでなく「証拠を残す」ことが大切です。確定申告後も、領収書・帳簿は原則7年間(青色申告の場合)保存が必要です。日々の管理を楽にするチェックリストです。

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7. よくある質問

Q. 軽貨物ドライバーはガソリン代を経費にできますか?

配送に使ったガソリン代は経費(車両費/燃料費)にできます。車を仕事とプライベートで兼用している場合は、走行距離などをもとに事業利用分だけを家事按分して計上します。レシートや明細は必ず保管してください。

Q. 家事按分とは何ですか?軽貨物ではどう使いますか?

プライベートと事業で共用しているものの費用を、事業で使った割合だけ経費にすることです。軽貨物では自宅兼事務所の家賃・電気代、スマホ通信費、自家用兼の車両費などが対象です。例えば通信費が月1万円でうち6割を仕事に使うなら、6,000円を通信費として計上します。

Q. 軽貨物で経費にできないものはありますか?

事業に関係のない私的支出は経費になりません。プライベートの食事・私服・生活分の家賃や光熱費(按分対象外の部分)、所得税・住民税、交通違反の反則金などは経費にできません。国民健康保険・国民年金は経費ではなく「社会保険料控除」で処理します。

Q. 経費を増やすと手取りはどう変わりますか?

経費が増えると所得が下がり、所得税・住民税・国民健康保険料のもとになる金額が下がるため税負担が軽くなります。ただし私的支出を無理に経費にするのは認められず、後でリスクになります。実際に事業で使った費用をもれなく正しく計上することが節税の基本です。

Q. 軽貨物の車(軽バン)を買ったら経費にできますか?

10万円以上の車両は買った年に全額は経費にできず、耐用年数で分けて計上する減価償却が必要です。軽自動車(貨物・新車)の法定耐用年数は4年、4年落ち以上の中古軽バンは2年に短縮できます。個人事業主は原則定額法で計算し、たとえば中古軽バンを60万円・耐用年数2年で買えば1年あたり30万円ずつ2年間経費にできます。ローンは元本が経費にならず、減価償却+支払利息のみが経費です。リースはリース料を全額その年の経費にでき、青色申告なら取得価額30万円未満は買った年に一括計上できます(詳しくは3章「車両の減価償却」)。

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※本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務判断は税理士・税務署にご確認ください。経費の可否や按分割合は事業の実態によって異なります。