軽貨物(黒ナンバー)で個人事業主として働くと、税金も社会保険も「自分で」払うことになります。会社員なら給料から自動で天引きされていた所得税・住民税・年金・健康保険を、独立後は自分で計算し、自分で納めます。しかも軽貨物は売上がそのまま手取りではなく、そこから経費・税金・国保・国民年金が引かれた残りが本当の手取りです。このページでは、軽貨物ドライバーにかかる税金と社会保険の全体像、それぞれ「いくら」なのか、そして売上400万円の場合の手取りシミュレーションを、表と具体例で整理しました。数字は2026年6月時点の一般的な制度にもとづく目安です(末尾の免責もご確認ください)。
1. 軽貨物にかかる税金・社会保険の全体像
まず、軽貨物の個人事業主にかかる「お金」を一覧で押さえましょう。大きく税金(4つ)と社会保険(2つ)に分かれます。会社員時代の「厚生年金・健康保険(会社が半分負担)」はなくなり、代わりに全額自己負担の国民年金・国民健康保険に入り直すのがポイントです。
| 種類 | 納め先 | かかり方の目安 |
|---|---|---|
| 所得税(+復興特別所得税) | 国 | もうけ(課税所得)に応じて5%〜の累進。復興分は所得税額の2.1% |
| 住民税 | 市区町村・都道府県 | 前年の所得に対して約10%+均等割(年数千円)。翌年に後払い |
| 個人事業税 | 都道府県 | 運送業=第1種5%。ただし事業主控除290万円。所得290万円以下は0円 |
| 消費税 | 国 | インボイス登録などで課税事業者になった人だけ。2割特例・簡易課税あり |
| 国民健康保険 | 市区町村 | 所得・世帯・自治体で変動。単身・所得200万円台で年20〜40万円が目安 |
| 国民年金 | 国 | 所得に関係なく定額。2026年度で月約1.7万円・年約20万円が目安 |
※消費税は「インボイス登録をしているかどうか」で有無が分かれます。登録すべきか・2割特例で納税額がいくらになるかは、軽貨物のインボイス制度ガイドで軽貨物に特化して解説しています。
2. 【本題】売上400万円の手取りシミュレーション
「結局、手取りはいくら残るの?」を具体例で見てみましょう。ここでは売上400万円・経費150万円・青色申告(65万円控除)・単身のモデルケースで、ざっくり計算します。実際はあなたの経費額・控除・自治体で変わるので、あくまで全体像をつかむための概算として見てください。
ポイントは、売上400万円でも手取りは約190万円という「差」です。差を生んでいるのは経費150万円だけでなく、国保+国民年金で約45万円、税金で約15万円という社会保険と税金の負担。会社員なら会社が半分負担してくれていた社会保険を全額自分で払うため、ここが手取りに大きく効きます。逆に言えば、経費をきちんと計上し、社会保険料や小規模企業共済などの控除を使うほど税金は下がり、手取りは増えます(第5章)。
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3. 個人事業税は0円になることが多い(事業主控除290万円)
意外と知られていないのが個人事業税です。貨物運送業(軽貨物の配送)は個人事業税の対象業種(第1種事業・税率5%)ですが、「事業主控除」が年290万円あります。つまり、もうけ(事業所得)が290万円以下なら課税所得がゼロになり、個人事業税は0円です。
| 事業所得(もうけ) | 個人事業税の目安 |
|---|---|
| 290万円以下 | 0円(事業主控除で全額が控除される) |
| 350万円 | (350万−290万)×5%=3万円 |
| 500万円 | (500万−290万)×5%=10.5万円 |
先ほどの売上400万円・経費150万円の例では、もうけは250万円で290万円を下回るため個人事業税はかかりません。所得が増えてきて290万円を超えると、超えた分にだけ5%がかかり、8月・11月に納付書が届きます。売上が伸びてきたら「個人事業税も出てくる」と覚えておきましょう。
4. 国民健康保険・国民年金はいくら?(=最大の所得控除でもある)
軽貨物ドライバーにとって、税金より負担が大きくなりがちなのが社会保険(国保+国民年金)です。同時に、支払った全額が「社会保険料控除」として所得から差し引けるため、税金を減らす効果も大きいのが特徴です。
| 種類 | 金額の目安(2026年時点) | 控除 |
|---|---|---|
| 国民年金 | 所得に関係なく定額。月約1.7万円・年約20万円(毎年改定。前納で割引あり) | 社会保険料控除(全額) |
| 国民健康保険 | 所得・世帯・自治体で変動。単身・所得200万円台で年20〜40万円程度 | 社会保険料控除(全額) |
国民年金は所得に関係なく定額なので読みやすい一方、国民健康保険は自治体によって計算方法(所得割・均等割・平等割)や料率が違い、同じ所得でも住む市区町村で金額が変わります。正確な額は、お住まいの市区町村のサイトや窓口で「国民健康保険料の試算」を確認するのが確実です。
大事なのは、この国保・国民年金は払って終わりではなく、全額が所得控除になるという点。たとえば国保25万円+国民年金20万円=45万円を払っていれば、その45万円分だけ課税される所得が下がり、所得税・住民税が安くなります。確定申告のときに「社会保険料控除」として必ず申告しましょう(申告し忘れると税金を払い過ぎます)。控除の全体像は軽貨物の確定申告のやり方もあわせてどうぞ。
税金・国保・国民年金がいくらになるかは、結局「売上」と「経費」が正しく集計できていないと計算できません。月々入力するだけで売上・経費・もうけまで自動集計できるExcelで、まずは自分の数字を見える化しましょう。
5. 税金・社会保険を減らす3つの手
手取りを増やすには、①経費をもれなく計上する、②所得控除を使い切る、の2方向があります。軽貨物ドライバーが特に効かせやすい3つを挙げます。
| 手 | 効き方 | ひとこと |
|---|---|---|
| 青色申告(65万円控除) | 複式簿記+e-Tax等で、もうけから最大65万円を差し引ける | 開業届と一緒に承認申請書を出すのが前提 |
| 社会保険料控除 | 国保・国民年金の支払全額を所得から控除 | 払った証明書を確定申告で申告するだけ。忘れ厳禁 |
| 小規模企業共済 | 掛金が全額所得控除。個人事業主の退職金代わり | 月最大7万円・年最大84万円まで。将来まとめて受け取れる |
特に見落とされがちなのが小規模企業共済です。掛金が全額所得控除になり、税金を下げながら将来の退職金を積み立てられます。経費(車・ガソリン)が頭打ちになってきた軽貨物ドライバーの「次の一手」として王道の節税です。経費側の最大化は軽貨物の経費まるわかりガイドで、勘定科目・車両の減価償却・家事按分まで確認できます。
6. いつ・どこに払う?(納付スケジュール)
軽貨物の税金・社会保険は時期がバラバラで、まとまって出ていきます。あらかじめ「いつ何が来るか」を知っておくと資金繰りで慌てません。
| お金 | 納める時期の目安 |
|---|---|
| 所得税(確定申告) | 原則、翌年3月15日まで(前年分をまとめて) |
| 消費税(課税事業者のみ) | 原則、翌年3月31日まで |
| 住民税 | 6月ごろ納付書が届き、年4回(6・8・10・翌1月)または一括 |
| 個人事業税(対象者) | 8月・11月の年2回 |
| 国民健康保険 | 自治体から届く納付書で年8〜10回程度(6月ごろ〜翌3月) |
| 国民年金 | 毎月(口座振替・前納で割引あり) |
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7. よくある疑問 Q&A
A. 税金は主に所得税(+復興特別所得税)・住民税・個人事業税の3つで、インボイス登録をしていれば消費税も加わります。社会保険は会社員の厚生年金・健康保険ではなく、自分で入る国民年金と国民健康保険が中心です。会社員と違って自動で天引きされないので、自分で計算して払う準備が必要です。
A. 運送業は対象業種(第1種5%)ですが、事業主控除が年290万円あります。もうけ(事業所得)が290万円以下なら0円です。売上400万円・経費150万円で所得250万円なら、290万円を下回るので個人事業税はかかりません。290万円を超えた分にだけ5%がかかります。
A. 国民年金は所得に関係なく定額で、2026年度で月約1.7万円・年約20万円が目安です(毎年改定)。国民健康保険は所得・世帯・自治体で変わり、単身・所得200万円台なら年20〜40万円程度が一つの目安。正確な国保の額はお住まいの市区町村で確認してください。どちらも全額が社会保険料控除になり、税金を減らせます。
A. 所得税は原則3月15日まで、消費税(課税事業者)は3月31日まで、住民税は6月ごろから年4回、個人事業税は8月・11月、国保は年8〜10回、国民年金は毎月です。まとまって出ていくので、売上の2〜3割を「納税・社保用」に別口座で取り分けておくと安心です。
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