🚚 軽貨物(黒ナンバー)経費ガイド/2026年版

軽貨物ドライバーの経費・勘定科目・減価償却
「いくらまで落とせる?」を表と計算例で

車の“買い方”で経費の入り方が変わる、が最大のポイント。
勘定科目一覧・現金/ローン/リースの違い・家事按分・NG経費まで、軽貨物に特化して解説します。

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軽貨物(黒ナンバー)で走る個人事業主にとって、手取りを左右するのが「経費」です。車を使って走るのが仕事なので、経費の中心はガソリン代や車両の減価償却など車まわりに集中します。なかでも軽貨物で最大の分かれ目が、車を「現金・ローン・リース」のどれで買ったか。ここで経費の入り方がまったく変わります。このページでは、計上できる経費の勘定科目一覧、車の買い方別の減価償却の計算例、家事按分の早見表、少額減価償却資産の特例、NG経費、そして「経費とは別枠」で効く所得控除まで、表と具体例で整理しました。数字は2026年6月時点の一般的な制度にもとづく目安です(末尾の免責もご確認ください)。

1. 軽貨物で経費にできるもの一覧(勘定科目つき)

まずは全体像です。「配送のために使ったお金」は経費になります。下は軽貨物ドライバーが使う代表的な経費と、その勘定科目・具体例・按分の要否をまとめた一覧表です。私生活と兼用するもの(車・スマホ・自宅)は、事業で使った割合だけを経費にする「按分」が必要になります(詳しくは第4章)。

経費の種類勘定科目具体例按分の要否
燃料費燃料費/消耗品費ガソリン・軽油の給油代私用と兼用なら按分
車両費・修理費車両費/修繕費車検・オイル交換・タイヤ・整備私用と兼用なら按分
保険料損害保険料自動車保険(任意)・自賠責保険私用と兼用なら按分
リース料賃借料(リース料)軽バンのリース月額事業専用なら按分不要
減価償却費減価償却費購入した軽バン(10万円以上)を年々費用化私用と兼用なら按分
通信費通信費スマホ・配送アプリ・データ通信私用と兼用なら按分
消耗品費消耗品費台車・軍手・ガムテープ・ロープ・ボックス基本は全額(事業用なら按分不要)
荷造運賃荷造運賃梱包資材・宅配便の発送費基本は全額
駐車場・高速代旅費交通費コインパーキング・有料道路・ETC業務利用分のみ
租税公課租税公課軽自動車税・自動車重量税・印紙代私用と兼用なら按分
地代家賃地代家賃自宅の一部を事務・保管に使う分自宅按分が必要
水道光熱費水道光熱費自宅の電気(端末充電・作業分)自宅按分が必要
雑費雑費洗車・作業着クリーニングなど少額私用と兼用なら按分

※勘定科目は会計ソフトや事業者によって細部が異なります(ガソリン代を「燃料費」にするか「旅費交通費」にするかなど)。大切なのは毎年同じ科目で一貫させることです。10万円以上の車両や設備は原則その年の一括経費にはできず、減価償却で複数年に分けます(第2〜3章)。

2. 【最重要】車両は“買い方”で経費の入り方が変わる

ここが軽貨物の経費でいちばん誤解が多く、いちばん差が出るポイントです。同じ軽バンでも、現金・ローン・リースのどれで用意したかで、経費のなり方がまったく変わります。

買い方経費のなり方ポイント
現金一括取得価額を耐用年数で分け、毎年少しずつ経費(=減価償却)買った年に全額は落とせない。数年に分けて費用化
ローン車両本体は現金と同じく減価償却。ローンの元本は経費にならず、支払利息だけが経費毎月の返済額まるごとは経費にならない点に注意
リース原則、そのリース料を毎月そのまま経費にできる(車の所有はリース会社)減価償却の計算が不要でシンプル。所有権は自分に来ない

つまり、現金でもローンでも「買った車」は自分の資産=減価償却で数年に分けて経費化します。ローンで気をつけたいのは、毎月の返済のうち元本(車両代の返済)は経費にならないこと。経費になるのは支払利息だけです。一方リースは車を借りている扱いなので、支払ったリース料をそのまま経費にできて計算がシンプルです。

軽貨物の耐用年数の目安

減価償却で使う「耐用年数」は、軽貨物でよく使う軽自動車(軽バン等)なら次が目安です。

車の状態耐用年数の目安
新車の軽自動車(軽バン等)4年(法定耐用年数)
中古の軽自動車新車より短い。下の計算式で求める(最短2年)

中古車の耐用年数は、次の式で計算します(1年未満切り捨て、結果が2年未満なら最短2年)。

中古の耐用年数 =(法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 0.2
法定耐用年数(軽=4年)をすでに全部過ぎている中古車は、この式でも最短の2年になります。

計算例:中古軽バンを60万円で購入(耐用年数2年)

法定耐用年数4年を過ぎた中古軽バンを60万円で買った場合、耐用年数は最短の2年。定額法だと取得価額を2年で均等に費用化するので、次のようになります。

項目金額・年数
取得価額600,000円
耐用年数(中古・上の式で算出)2年
1年あたりの減価償却費(定額法)300,000円
1年目に経費にできる額300,000円
2年目に経費にできる額300,000円
合計(2年で)600,000円

※実務では、年の途中で使い始めた場合は月割り計算になり、備忘のため最終年に1円だけ帳簿に残すのが一般的です。また私用と兼用する車は、この減価償却費に事業割合を掛けた分だけが経費になります(第4章)。定率法を選ぶこともできますが、届出をしなければ個人事業は原則「定額法」です。

ガソリン代・車検・按分した通信費に、車の減価償却費……軽貨物は経費の科目が多くて集計が面倒。月々入力するだけで、売上・経費・もうけまで自動で集計できるExcelです。

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3. 30万円未満なら一括で経費にできる(少額減価償却資産の特例)

「10万円以上は減価償却」が原則ですが、青色申告なら大きな例外があります。取得価額が30万円未満のものは、買った年に全額を経費にできる「少額減価償却資産の特例」です。台車やスマホ、中古の安い備品などが対象になります。買い方(現金・ローン)を問わず使えます。

申告の種類一括で経費にできる上限年間の合計上限
青色申告1点 30万円未満(特例)合計 300万円まで/年
白色申告1点 10万円未満(原則)上限の定めなし(そもそも10万円未満のみ)

たとえば軽貨物で使う25万円のスマホ・タブレット一式や、20万円の中古の予備備品などは、青色なら買った年にまとめて経費にできます(合計300万円まで)。白色だと10万円未満までしか一括にできないので、この差は青色申告の大きなメリットの一つです。なお10万円未満のものは、青色・白色を問わずそのまま消耗品費などで一括経費にできます。

特例を使うには「青色申告」であることが前提。30万円未満を一括で落とせるのは青色だけの特典です。まだ青色にしていない人は、軽貨物の開業ガイドで青色申告承認申請書の提出期限を確認しておきましょう。

4. 家事按分の考え方(自宅・スマホ・車を私用と兼用する場合)

自宅の一部や、私生活でも使う車・スマホ・電気は、事業で使った割合(事業割合)だけを経費にできます。これを「家事按分」といいます。割合は「走行距離」「使用時間」「業務に使った日数」など、合理的に説明できる根拠で決めます。下は考え方の早見表です(数字はあくまで例で、実態に合わせて決めます)。

項目按分の基準の例事業割合の例支払1万円なら経費
ガソリン代走行距離のうち仕事で走った割合70%7,000円
スマホ通信費仕事で使った時間・用途の割合60%6,000円
自宅の電気代作業スペース面積・端末充電の分20%2,000円
自宅家賃(保管・事務)事業に使う部屋の床面積割合15%1,500円
自動車保険・車検車の走行距離の事業割合に合わせる70〜90%7,000〜9,000円

大事なのは数字の根拠です。上の「ガソリン70%」「スマホ60%」などはあくまで一例であって、正しい割合はあなたの使い方で決まります。走行距離計やアプリの記録、勤務日数などを残しておけば、税務署に聞かれても説明できます。逆に「なんとなく全額」は否認されるリスクがあるので、根拠を持って割合を決めましょう。

5. 経費にできない・グレーなもの(NG集)

「事業のために使った」と言えないものは経費にできません。うっかり入れてしまいがちなNG例を、理由つきでまとめます。

NGな支出NGな理由
自分ひとりのランチ・食事代仕事中でも「自分の食事」は生活費(家事費)。取引先との会食など事業目的が明確な場合のみ会議費・接待交際費になり得る
スーツ・私服・普段着仕事にも私生活にも使えるため事業専用と言えない。事業専用の作業着・制服は消耗品費で可
駐車違反・スピード違反などの罰金・反則金租税公課に見えても、罰金・反則金・加算税は経費にできない(法律で損金・必要経費不算入)
ローンの元本返済元本は借りたお金を返しているだけで費用ではない。経費になるのは支払利息のみ(第2章)
事業と関係ない買い物・私的な旅行プライベートな支出は家事費で経費対象外
生計を同じくする家族への給与(届出なし)原則経費にできない。青色事業専従者給与の届出など要件を満たした場合のみ可

6. 経費を最大化する前に:所得控除も効く(青色65万+α)

節税というと「経費で落とす」に目が行きがちですが、「経費」とは別枠で税金を減らせる「所得控除」があります。ここに気づくかどうかで手取りが変わります。軽貨物の個人事業主が使いやすいのは次のとおりです。

制度効き方数値の例
青色申告特別控除要件を満たすと最大65万円を所得から差し引ける複式簿記+e-Tax等で最大65万円
小規模企業共済掛金の全額が所得控除。個人事業主の退職金代わり月2万円→年24万円が全額所得控除
iDeCo(個人型確定拠出年金)掛金の全額が所得控除。老後資金づくり拠出額に応じて所得控除
国民年金基金掛金が社会保険料控除の対象拠出額が所得控除

ポイントは、これらは「経費」ではなく「所得控除」だということ。経費で利益を圧縮するのとは別のルートで、課税される所得そのものを減らせます。とくに小規模企業共済は掛金が全額所得控除になり、将来は退職金のように受け取れるため、経費が頭打ちになった軽貨物ドライバーの次の一手になりやすい制度です。「経費で落とす」だけでなく「所得控除で減らす」も併せて考えるのが、手取りを守るコツです。

7. レシート・帳簿管理のコツ(チェックリスト)

経費は「使ったこと」を記録・保存できてはじめて計上できます。走りながらでも続く、シンプルな管理のコツをチェックリストにしました。

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8. よくある疑問 Q&A

Q. 軽バンをローンで買いました。毎月の返済額は全部経費になりますか?

A. いいえ。返済額まるごとは経費になりません。ローンで買った車も現金と同じく車両本体は減価償却で数年に分けて費用化し、経費になるのはローンの支払利息だけです。元本(車両代の返済分)は経費になりません。つまり「減価償却費+支払利息」が経費で、毎月の返済額そのものではない点に注意してください。

Q. スマホやガソリンは何割を経費にできますか?

A. 決まった率はありません。事業で使った割合(事業割合)で按分します。ガソリンは走行距離のうち仕事で走った割合、スマホは仕事で使った時間・用途の割合など、合理的に説明できる根拠で決めます。「ガソリン70%・スマホ60%」はあくまで一例で、実態に合わせて決め、走行距離やアプリの記録など根拠を残しておきましょう。

Q. 中古の軽バンは何年で経費にできますか?

A. 新車より短い年数で経費にできます。軽自動車の新車の法定耐用年数は4年で、中古は「(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×0.2」で計算します(1年未満切り捨て、最短2年)。法定耐用年数の4年をすでに過ぎている中古軽バンなら、この式でも最短の2年で経費化できます。

Q. レシートを無くしました。経費にできませんか?

A. あきらめる前に代わりの記録を集めましょう。給油や買い物はクレジットカード明細・電子マネー履歴・銀行の出金記録、高速代はETC明細などで支払いを示せます。それでも証憑がない現金支出は、日付・金額・支払先・用途をメモした出金伝票で補うのが実務です。今後はレシートを月ごとに封筒・アプリで必ず保存し、事業用の口座・カードを分けておくと安全です。

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本ページに掲載の勘定科目・耐用年数(軽自動車4年・中古の計算式・最短2年)・減価償却の計算例・少額減価償却資産の特例(30万円未満/年間300万円)・家事按分の割合・青色申告特別控除65万円・小規模企業共済やiDeCo等の所得控除・NG経費などの数字や取扱いは、すべて2026年6月時点の一般的な制度にもとづく目安です。税制やルールは変わることがあり、あなたの状況や選ぶ償却方法によって正解は異なります。実際の経費計上・確定申告の際は、必ず国税庁のサイト・お近くの税務署・税理士で最新の正しい情報をご確認ください。本ページの内容にもとづいて行動した結果について、発行元は責任を負いかねます。